江戸時代、富士山の山開きには、江戸市中・近郊のあちらこちらにあった冨士塚へ多くの人が参詣に訪れ、火事の多かった市中では火防として、疫病が流行した農村では疫病除けとして、この蛇が買い求められました。近年、これを買い求める家では、水の守り神として、台所などのできるだけ水道の蛇口に近いところに飾っています。
富士山を祖先の霊が宿る貴いお山と崇め、それに登拝を重ねることによって加護を受けるという教えをもつ十条冨士講の講中が、その富士山に鎮座する冨士仙元大菩薩の霊験を顕わすために発案しました。赤色紙は人々を救済する慈悲の心を、緑の帯は心の平穏を示します。冨士仙元大菩薩の利生により、災難から逃れ、生活の安定を得ることができるように、神棚などの高いところに飾ります。
祈願内容を記した護摩木を富士塚の頂上にある炉の中に入れて焚き上げると、その煙とともに火の神が天に昇って、願いを届けてくれるでしょう。
冨士講の信仰には、明治時代以前には一般的であった神道と仏教との混交した儀礼がみられます。冨士塚の頂上にある火枠で線香を焚き上げるのは、十条冨士講が月拝みでお焚き上げと称して、鉢に線香を積み上げて富士山を炙り、お伝えを唱え終わるのと同時に一気に燃え上がらせる儀式を模したものと考えられます。その本旨は、富士山と縁の深い火の神を出現させることにあったのかもしれません。
冨士浅間大神は、火山である富士山の噴火を鎮めるために奉斉された、富士山本宮浅間大社の祭神です。その神徳は、火難消除・安産・豊饒などとされています。
冨士浅間大菩薩を祀る十条冨士塚に参拝された記念であり皆様の「心願」を授受された証です。御朱印帳に塗付または、神棚などに安置してください。
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